真実

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夜 アパートの ドアを 叩く音がした こんな時間に 雨の中誰だろう? 由美が 返事を すると 扉の向こうから 『ママ?…』 声がした 由美は 慌てて ドアを開けた 『電車乗って来ちゃった 会いたくて』 夏海は 遠い九州から この東京迄 小遣いを貯め 浩二に 内緒で 会いにきてくれたと言う 由美は 夏海を抱きしめる事も出来ずに 泣き崩れた そこには、 すっかり背が延びた美しい顔立ちの夏海がいた 泣いて息も 上手に 出来ない由美は 呻くような声をあげて 更に泣いた 『ごめんね、ママ… もっと早く会いにきたかったんだけど…』 夏海も そう 言って泣きだした 由美は ただ 何度も頷いた
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