過去になったあの日

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 なにかないか、と辺りを見回す。  池があった。  俺はそれを見て、睡魔に襲われたかのようにトロンと瞳を伏せ呟いた。 「……懐かしいな~」  そう、まだ親父が居たころを不意に思い出してしまったのだ。  よくあの池に落ちては笑われたものだ。  親父は、楽観的なやつで簡単に言うと俺みたいなやつだった。  違うところはチキン要素がないとこ。  神様ちょっと理不尽だね。 「そういや池に落ちたのは柚に投げられたからだっけな……」  思わず苦笑する。  幼少時から投げられたりしていた俺って……。  ちなみに親父は違うとこにいってしまった……。 「……何故剣道を教えにわざわざ外国まで飛ぶんだか……」  まったくもって剣道大好き楽観親父だな。  違うとこにいってしまったて言ったけど他界はしてないぞ?  するわけないだろ。  俺の人生にブルーなんて一ミリもいらないからな。  幼少時はやっぱり高い高いが好きだったな。  親父に何回かやられたけど、偶に物凄い力入れて空に飛ばすから何回か他界他界しそうになったっけな。 「過去か……なにもかもみな懐かしい……」
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