過去になったあの日

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 あぁ、過去と言えば、ちょっと前のアレも過去だな。  感慨深く目を細め、ついには目を瞑りあの時を思い出す。  ◇ ◇ ◇ ◇  ――――暗い。  起きたら部屋が暗かった。  朝を迎えきれていない深夜を差す時計、その時の俺の気持ちは微睡んでいた。  その日の夕暮れに、柚はある人とケンカをした。  俺の通う学園で同じ高等部第二学年でしかも同じクラスの生徒会長、矢崎 凪(やざき なぎ)。  二年で生徒会長を務める異例の秀才で有名。  容姿は眉目秀麗な上に性格もよく、当然人柄も良い。  凪ちゃんとは二年にあがって最近で仲良くなった。  何かと一緒に行動をするようになったのだが、度々に柚と言い合いをしていた。  その日の夕暮れに柚と凪ちゃんがまた言い合いをした。  理由は些細な事だが、もう相容れないと言わんばかりに反発しあう。  時間も時間で心配性な母さんが心配する時間だったし、何より言い合いからケンカに発展した二人の姿が見たくなかった。  本来ならばいつも一緒に帰るのに、俺は一人で朱に焦げる歩道を歩いていた。  その時の夕焼けは、俺の影を寂しく焦がしていた。
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