ただそれは、小さい喜びだった

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平凡というものはそう簡単に決めつけられるものじゃない。 案外簡単に壊れるくせにね。 けどその非日常もしばらくすれば平凡に変わる。 けど変わらない非日常もあった。 二週間、それが俺を苦しめた時間。 「俺作家でデビュー出来ちゃうんじゃない?」 自分の思ったことが何気に格好いいのでついつい自惚れしてしまった。 ナルシストじゃありません。 ちょっとシャイなティキン野郎です。 俺は自分の部屋のベッドで寝転がっている。 俺が動く度に純白のシーツにきめ細かくシワが出来る。 そんな純白のシーツすら俺の心の白さにはかなわないけどね。 「嘘だけど……」 人間完璧ではないから純白は珍しいだろう。 心の色なんて見えませんが……。 完璧じゃないから落ち込む時もある。 それで傷つけてしまう時もある。 「最近は元気だけどね…………凪ちゃん」 あの過去俺は、少しだが、傷つけられた。 矢崎 凪に。 瞼は重く景色を消していった。 光は消え、意識は途絶える。 「――…………」 俺は夕日に包まれながら眠りに落ちた。
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