♥1..そもそもの始まり

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「………ただいまー」 憂鬱に家のドアを開ける。 声のトーンがいつもより低いんが 自分でもよーくわかる。 さて、どないしよ。 この成績表を ぎりぎりまで隠し通してしまうか いっそ潔く見せてしまうか… ――あ!せや! お母ちゃんに成績表見せたら早々にビールでもたらふく飲ませて 成績表のこと綺麗さっぱり忘れてもらえば…! ………だめや!! 酔いが覚めたら 確実に思い出すやろ! あーもー!わからへーん! まぁとりあえず 家ん中入るしかないか… ウチは大きくため息をついて のろのろと靴を脱ぎ始めた ………ん? ふと目を落とせば男物のおっきい革靴。 誰のやろ? ウチはお母ちゃんと二人暮らし。 お父ちゃんは一応いてるけど 二人はお父ちゃんの両親のつよーい要望により 会うことは許されてるけど結婚も同棲もできないっていう 何だか可哀相な夫婦です。 …この場合 夫婦って言葉合ってるんやろか? あ、でもでも! お母ちゃんもお父ちゃんも ウチがどん引くくらいラブラブだし愛し合っとるし ウチのことも愛してくれる だからその点は心配いらへんよ。 …って、あ、話それた。 そーいうわけで、この靴は誰のなんやろなー?
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