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「…お邪魔してます」
「あらぁまつり、おっかえりー★」
いつも通りのからからとした
お母ちゃんの笑い声。
綺麗に切り揃えた短い黒髪の見知らぬ真面目そうな男は
困ったように笑いながらウチに会釈してきた
…見たとこ、20代前半。
うさんくさい。
………んで酒くさい。
お母ちゃん、酔ってる?
この男に飲まされたん?
ていうかほんま、この男誰なん?
お母ちゃんの職業はクラブのママ
客かもしれへん。
でも、お母ちゃんがお客を我が家に上げたことなんか
今まで一度もなかった…
「っ…でてけーーーー!!」
「!?」
「お母ちゃんはなぁ、若そうに見えるかもしれへんけどもう36歳やで!
あんたならもっと若い姉ちゃん相手にした方がええやろ!
お母ちゃんにはお父ちゃんがいてるねん!
もううちに上がらんとって!!」
一気に叫んだら涙出て来た。
でもこれだけじゃ納得いかへん。
今度はお母ちゃんに叫ぶ。
「お母ちゃんもお母ちゃんや!
お父ちゃんがいてるやん!
浮気するならするで、せめて…
せめてウチがいないとこでやってやーーー!!」
「何言うてん祭ぃー」
まだお母ちゃんは楽しそうにからからと笑ってはる。
う…ウチの気持ちも知らんで!
「お母ちゃんまだ35やでー?」
し、知るかいー!
「それにぃー」
お母ちゃんは男の首に
両腕を巻き付かせて色っぽく笑う。
「このコ、浮気相手やなくて祭の家庭教師やねんで♪」
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