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ルギネア暦5465年、魔王を倒した四戦士とその仲間の青年は人里離れた遺跡に来ていた。
「こんな所に来てなにをするんだ?」
五人の中の赤い髪をした青年が問い掛けた。
「ここに魔王軍の残党がいるんだ」
その問いに戦闘を歩いていた黒髪の青年が答える。
返答を聞いた赤髪の青年はそれから一言もしゃべらなかった。
遺跡の中は洞窟のようになっており、光が入って来ず、ほとんど何も見えない状態だ。
だが、道が真っ直ぐだったため、一度も止まることは無かった。
「ここだ」
黒髪の青年は立ち止まり、目の前にある扉を指差す。
扉からは微かに光が漏れていた。
「よし、いつも通りガルムを戦闘に突っ込むぞ」
黒髪の青年の言葉に五人は頷き、赤髪の青年が扉に近づいていく。
赤紙の青年は扉を勢いよく開け、中に入った。
しかし、中には魔王軍どころか虫一匹すらいなかった。
中は真四角の空間で、壁や天井など全てが真っ白で出来ており、長時間いるとおかしくなりそうだった。
突然、扉が閉まる音が部屋の中に響く。
「おい、何するんだよ!」
赤髪の青年を残し、扉が閉められたのだ。
青年は扉に手をかけ、必死に開こうとするが、扉はびくともしない。
「神々の力宿りしこの場、今その力でその者を封じよ」
赤髪の青年の声に対して返事は無く、代わりに黒髪の青年の呪文を唱える声が聞こえてきた。
それと同時に真っ白だった部屋の中に無数の魔方陣が現れ、さらに赤神の青年に向かって部屋の壁や天井から大量の鎖が伸びてきた。
「何故だ。何故こんなことをする!」
「魔王がいなくなった今、お前はいらないんだよ」
「どうしてそんなことを言うんだ。今まで一緒に戦ってきた仲間だろ」
「仲間?お前を仲間だと思ったことは無い。お前の力を利用しただけだ。しかし魔王がいなくなった今、お前の力は危険なだけなんだよ。この『化け物』め」
「そ・・んな・・・」
部屋に現れた全ての魔方陣から紫電が青年に浴びせられる。
そして、大量の鎖に自由を奪われ青年は意識を失った。
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