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(やっぱり「引く」のか?)
この世界には人間以外にもさまざまな種族がある。身体能力に長けた獣人。魔法に長けたエルフ。そして数がかなり少ないが両方に秀でた竜人とヴァンパイア。獣人以上に身体能力に長けた悪魔。エルフ以上に魔法に長けた天使。などである。混血児とは二種族以上の血を引く者のこと。混血児は珍しく、人間は混血児の強大な力を恐れている。
(キルギス達も最初は引いたからな)
「・・・・ごい・・・・」
「えっ?」
「すごいって言ったの!」
ガルムの考えとは裏腹にリリアとシルの顔は喜びに満ちていた。
「なっ・・・・・・引かないのか?」
「引くわけないだろ。混血児に会えたんだぜ。八十年生きた人でも会えないんだから」
「ふっ」
二人を見ているとガルムは心配していた自分が可笑しくなり、軽く笑った。
「あっ、そろそろ戻るか。ガルムも一緒に来るだろ」
急にシルが左手につけている時計を見ながら言った。
「ああ、お前らがいいのなら」
「でもその鎖はどうするんだ?」
鎖とは今現在ガルムの自由を奪っている鎖のことだ。
「ああこれか、これくらいなら問題ない」
「何が?」
「まあ見てろ」
ガルムはそう言ってから深呼吸をしてめを閉じた。次の瞬間
「はぁっ!」
ガルムは鎖を全て引きちぎった。
「すげ・・・・・・」
「よし、じゃあ案内頼む」
二人が呆気に取られているとガルムがいつの間にか二人の隣に来ていた。
「分かった」
二人は正気に戻り、来た道を帰り始めた。
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