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お酒が入るとなんでも話せるようになるのか、村田さんは二年前に別れた彼女が未だ忘れられないと嘆いた。
館野さんは最近の彼女との喧嘩について話し、坂本さんは元カレの浮気について愚痴をこぼした。
『見ているだけ』という恋愛しかしたことがないような高校生の僕にとっては何もかもが新鮮で、僕はりんごジュースを飲みながらぼんやりとみんなの話を聞いていた。
その内、席の移動があったりして、話題が少し、まぁ、過激になってきたりして、気づくと僕はりんごジュースを二杯も飲み干していた。
木下さんが「そろそろ終電やばいんじゃない?」というまで、僕は時間の経過というものをすっかりと忘れていた。
『終電』などという言葉は今まで僕の人生とまったく無縁なものだったので少々驚いた。
勘定は何杯飲もうがみんなで同じ値段を払うらしく、僕も払った方がいいんだろうか、などと考えている内に済んでしまっていた。
りんごジュースをただ飲みしてしまった。申し訳ないなぁなどと思いつつ僕はみんなと店を出て、電車に乗って、一人二人と人が減って、最後は一人で揺られて、最寄り駅について、そこから自転車に乗って、家に帰った。
家についた時にはもう夜中の一時だった。
生まれてはじめて飲みに行ってしまった。場違いだったかもしれないが、いい経験になったなぁ。
そんなことを思いつつ、僕はお風呂にも入らずに眠りについた。
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