輪廻

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輪廻

切り裂いて広がる真っ赤な雨は、 揺るがない愛の結晶。 彼は不謹慎な言葉を繰り返す。 「ブッコロス………」 耳すまし聞こえぬ振りの犬どもは 錆びた鎖に繋がれたままで。 いつもご機嫌うかがい尾を振る。 「愛しています」 永遠に尽くしていよう、 繋いでいく明日の為に、 食い散らかした人々の名を埋めて。 永遠に手を伸ばしたまま、 もう二度と生まれない自分、 もうすぐ千切れていく意識。 泣き殺した幸せに 伸ばした手は目を塞いだ。
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