目を閉じた朝

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目を閉じた朝

何故、この子にはもう、 朝は来ない。 大好きだった枕に触れても。 いくら泣き叫び手を振ろうとも、 かすりもしない記憶。 明日、この場所にはもう、 君がいない。 滲み流れた紅色の匂い。 潰し合う虫けらが蠢いて、 気付かぬふりで貪る。 私は笑うわ、 全てを失ったあとに。 ああ、 深く、今を、閉じる。 ああ、 滲んで消えた笑顔の日々に。 何故、この子は二度も、 生まれはしない。 大好きな……… いくら名を叫び体、叩きつけても、 映りもしない面影。 私が刻むわ、 全てが終わったあとに。 ああ、 暗い、暗い、夜に。 ああ、 仙痛の願い目眩に尽き。
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