逃げろ!

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 “リズベア”  セカンドクラスに属する魔物で熊を一、二まわり大きくした容姿を持つ。  知能は低いが身体が頑丈で気性が荒く激しい、という特徴がある。  必然、同じセカンドクラスの魔物の中でも上位に位置付けされ、純粋な膂力の強さはサードクラスの魔物にも匹敵すると言われている。 「――――!!」 「のわぁぁぁ!」  怒りに染まった咆哮と共に、迫るリズベアの攻撃。イクスはそれを、今度はバックステップで回避する。  説明するまでもないが、“間一髪”でだ。 「ハッ! 自慢じゃないがかわすのには自信があるんだよ!」  イクスはリズベアに向かって自信満々にうそぶく………が、冷や汗が止まっていない。 (ヤバイヤバイヤバイ効かないどうする止まるな当たるぞ裂かれるぞ潰れるぞちぎれるぞ弾けるやはり逃げ――)  焦った頭で考える。だが相手は暇などくれない。なおも迫るリズベアの連撃。  イクスは身体を右に左に動かし、何とか髪一本分の差でリズベアの爪をかわし続ける。  先程のイクスの攻撃で相当怒っているようだった。 「――――!!」 「――――!!」  唸り声が後ろから二つ。様子を見ていた他の二体も動き出した。 「くっ!」  出足が速い。一歩二歩、すぐにイクスの側までくることは事実だった。  咄嗟に脇を通り抜けるように腕を回避したイクスは、リズベアに背を向けて走る。どうにか距離を取って体勢を立て直さないとこのままでは一分と保たないからだ。
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