決戦、魔法使い

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 ――逆に聞くが、それで阻めるもんかね? (いいや)  ――だろ? それじゃあいくら魚だろうと侮っても、乗り越えられて終わりなんだよ。  悪魔の話は納得ができる。だが、今のはただの確認であって、肝要なのはその部分ではなく。  ――じゃあ今の場合はどうやって阻んでいるのかって事になる。向こうまで行って確かめるって物理的な方法は、ソイツの言った通りの事が起こるだろうからさせられないが、まあ要は流れて来るところ自体があそこで横にずらされて、どうやっても上流に行けなくされてるのさ。  それならば――  ――それなら自分達も横にずれればいいなんて思うなよ。川の中でしか生きられない魚は、川の中から出る事ができないのが定めなように、今のお前たちも洞窟の穴の中にしか進むべき道はない。  そこで、やっといま自分達が置かれている状況が、途方もない事なのだと理解した。  つまりは、そういう事だ。出るとか、出られる以前の問題なのだ。 (……バカな。川の流れを変えるなど、どれ程労力がいるというんだ? ましてや洞窟の入り口までの道を横にずらして閉じ込めるなど、そんなこと出来るわけが……)  ない、と。その先の言葉が出ない。出せない。それを軽々しく口に出してしまおうものなら、おそらく自身には須く死が待っている。
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