決戦、魔法使い

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「ここ、ですね」  大きな壁にぶつかった時のように、語調険しく言うミスティ。  彼女の言葉に、フィオナも重く頷く。  一方イクスは、ランタンを掲げながら、空いた片方の手で顎をさすり、片側の穴を睨んでいた。  シオンは先を促すように、フィオナに声をかける。 「どちらに行くか、選ばなければいけませんね」 「いえ、道はあちらですわ」  しかし予想に反して、フィオナの返答は早く、その上確定的だった。 「何故、断言できるのです?」  明確な答えの出所はなにかとそう訊ねると、それにはカナードが。  こちらもミスティと同じくどこか悩ましげに、答える。 「右の穴を良く見ろ。すぐ分かる」 「あ――」  カナードに言われるがまま右の穴を見ると、答えは即座に出た。調べに足を向ける必要もない。右側の穴は、すぐに行き止まりになっていた。 「ならば、立ち止まるまでもないでしょう。行く道が左と確定しているならば、そのまま行けばいい事だと思いますが?」  と、カナードに返答しつつ、イクスに声を掛けるが、当の本人は両方の穴をしげしげと見つめるばかり。  すると代わりに、カナードが剣呑な表情に困惑を滲ませながら、意味有りげに言う。 「いや、事はそう簡単なものではないのだ」 「どういう事です?」 「それはだな――」
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