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一時間ほど戻って。
在校生は午前中に始業式があるが、午後の入学式にも出席するため学校に残っていた。あいだの時間は基本的に自由のため、生徒たちは思い思いに過ごしている。
ルークは中庭にいた。昼食も食べ終わり、特にすることの無い彼は樹に寄りかかってぼうっとしている。
胸がもやもやする。
ルークは原因がわかっていたがどうも出来ない。
入学式がある。
そこでは生徒会長が挨拶する。
格好良い『生徒会長』を見て恋心を抱く女生徒がまた増えるだろう。
「ガイ………」
想い人の名を呟く。
ただの『幼なじみ』と思えなくなってから、彼の隣に居られることが嬉しく、しかし辛かった。
いつか彼に恋人が出来たら、今までみたいに構ってもらえなくなる。
わかっているのに。
「俺は……ただの幼なじみ………」
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