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『久しぶりっ!!すっごく汗だくじゃない。もしかして、部活帰り?』 「‥‥ええ、そうですよ。ひとみ先輩は?ちゃんと元気にやってましたか?」 またペンを動かし出す。 なかなか会話は進まないが、それでもこの穏やかな空気は彼女がいるからこそで、 だったらそれでいいと思う。 『ちゃんとやってました。山口私のこと子供扱いしてない? 私だって自分のことくらいちゃんと出来ますよっ』 「あーはいはい、すみませんって。ひとみ先輩の方が年上なんですからそんなことありませんよ」 『ほらまたっ!!』 紙を通して、繋がれていく会話の鎖。 怒りでほんの少し赤くなる頬が子供っぽくて可愛いと思う。 思わず小さく笑い声を漏らせば、睨まれてしまった。‥‥別に俺の責任じゃないと思うんだけど。 だってひとみ先輩があまりに可愛らしいから。 とても高三とは、自分の一つ上とは思えない反応ばかり繰り返すから。 それが可愛くて愛しくて、零れる笑みすらもう止めるのは不可能になってしまう。 けれどこれ以上機嫌を損ねるとまずいから、さらりと話題を変えた。 「先輩が居ないから、部活のみんなだらけちゃってますよ?」 『あー‥‥なんか本当にありそうでイヤな構図だわ、それ。山口は?ちゃんとやってるよね?』 「‥‥勿論です」 『反応が遅い!!帰ったらバシバシ行くからね?タイム落ちてたら全員トラック二十周だよ?』 「えー勘弁してくださいよ、柳原部長よりよっぽどきついじゃないですか、それ」
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