かざぐるま

どきどきﾊﾌﾟﾆﾝｸﾞ

「はい。だって由妃先輩がけがしたとき、急いで先生呼びに行ってくれたんですよ。しかも息切らして…それって優しくないですか？」

私の顔を下から覗き込むように言い、香織はふわっと微笑んだ。香織の優しい言い方と笑顔にドキッとして「…まぁー」と目を反らし、曖昧な返事をするしかなかった。
その反応を見て満足そうにニコッとして言葉を続ける。

「『かっこいいってのは顔だけじゃない。優しさの中にかっこよさがある。』前に烈くんがそう言ってました。」

ふぅん…烈のくせになかなかいいこというじゃん。

「だから愛さんは優しくってかっこいいんです。」

とても生き生きした顔でそういう香織。

「へへっ、なんて生意気なこといってみたり。」

香織はちょっと照れたように、はにかんだ。

そんな香織も可愛くて…

「そんなことないよ…あんな短時間、愛といただけでそこまで言ったのは香織が初めて。香織は人を見る目があるよ。」

そう言って香織の頭に手をのばし、ぽんぽんと撫でた。彼女は顔を赤くして、恥ずかしそうにうつむいた。

そんな様子の彼女をみたらなんだか自分も恥ずかしくなってきて、頭においていた手をわっしゃわっしゃと強引に撫でた。