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「そんな結構ですよ!先輩のほうこそ濡れてるのに。先輩が先にお願いします」
由妃は彼女をかばって上着をかけてくれた。だからその分多少なりとも由妃のほうが濡れている。
「あー全然気にしないで。私これでも体、丈夫なんだよ。それに弟の大事な彼女さんですから何かあったら烈に何言われるか。」
まぁ何言われても黙らせるけどね、と付けたし、はやく行っといでと急かす。
「…そうですかぁ。じゃ、お言葉に甘えて入らせていただきます。」
「うん。さっきお風呂沸かしてきたから丁度いいぐらいだと思うよ。」
そういってお風呂場まで送っていき、べたべたの制服から着替えた。そしてリビングへ戻り、ソファーに身を預けるようにドカッと座る。
「ふぅー」
と、長めのため息をつき、寝転がる。なんだか今になってどっと疲れがきた。
香織といると身が持たないというかなんというか。確かに疲れるのだが、楽しいのも事実である。
愛や烈といるときとは、また違った楽しさだ。
「井上香織…か」
ボソッと呟いた。すると、お風呂場の方から私の名前を呼ぶ声がした。
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