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―コツコツ、コツコツ―
なかば強制的に入れられた男は服で手の平を拭いながら周りを見渡す。
不意に一番中心にある人形ケースの前で足が止まる。
「・・・気になりますか?・・・こちらの方達は、1050~1086年頃までこの国の前線で戦い抜いてきた軍の方達ですよ・・・」
教科書で見た事のある男女が立派な軍服に身を包み、堂々と立っていた。
「・・・彼等はあまりにも強い為に・・・国王の手に余り、処刑されてしまいました。」
少し悲しそうな声で女性は言った。
「・・・・・・」
気まずいまま、男は女性の後に続いて歩く。
―コツコツ―
しばらく歩いていると、ふとあることに気付いた。
(なんで・・・俺の足音しかしないんだ?)
目の前を歩く女性の足音が一切しなかったのだ。
「さぁ、こちらです・・・」
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