2882人が本棚に入れています
本棚に追加
気がつけば、僕は感情のままに黒丞に詰め寄っていた。シャルロッテも冥さんもあまりにもの光景に言葉が出ないといった様子だ。強い調子でもう一度訊く。
「どういうことなんだよ!?」
『苦しいからっ! いくらなんでも死ぬって』
いつの間にか黒丞を締め上げていた――腕から力を抜く。
「ご、ごめん」
『あぁ、気にしてねぇから。隊長は――わかんねぇ。近くの部隊に救援を頼もうとしても、見当たんねぇからここまで飛んできたんだよ』
ということは第1小隊も第2小隊も敗走中の部隊に巻き込まれたのか……。何にしても非常に具合が悪いぞ。
「どう……します?」
シャルロッテが冥さんの顔のすぐ隣から、にゅうと顔を出した。わざわざ椅子に乗らなくてもいいのに。
「そりゃ……助けに行くしかないだろ」
「で、ですけど味方はいませんよー。危険すぎますー!」
両手を振り回し、あたふたと慌てふためいて冥さんが止めようとする。
まぁ、冥さんの言うことも一理ある。中央先鋒部隊を敗走させるほどのスィエルがいるのだから。けれども――
「シャルロッテがいるなら大丈夫さ。数百メートル以内なら詳細にわかるもんな」
最初のコメントを投稿しよう!