第43話 開戦、戦場は東京(後編)

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 先ほどまで天地隊長が戦っていた戦場である。  天地隊長はゆっくりと立ち上がると、おぼつかない足取りで歩き始めた。  気絶したときの記憶などない。ただ、頭にほとばしった痛覚だけ。何が原因で倒れたのかなど全くもって心当たりがない。だからこそポツリとつぶやいてしまう。 「いったいどうなってるのよ……」  もちろんその声に答えるものなどいない。いや、違った。  ――教エテヤロウカ?  頭の中に響く声。天地隊長は即座に身構える。目だけを動かして周囲に神経を張り詰める。水滴が頬を伝って落下した。 「誰かしら?」  落下したのを合図に天地隊長が口を開けた。じれったいのかして口調が荒くなる。 「誰って訊いてんのよ!」  ――自分自身。 「へ?」  周囲の景色が徐々に暗くなり、意識が遠くなる。そして――プツンと途切れた。  悲鳴かと聞き間違えてしまうオペレーターの声が響く。 「方面総監部との通信途絶! 各部隊との連携が断絶しましたっ!」  左翼部隊を担う第11師団は突然の通信途絶に混乱の極みとなっていた。戦闘部隊の2割を失った第11師団にとっては、まさに悪夢としか言いようがない。
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