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流れる汗を拭いながら、僕は立ち尽くしていた。なんてゆーかあれです、心拍数が跳ね馬状態で今にも飛び出しそうだ。
「なんか……前にもこんなことあった気がするなぁ」
口から大きなため息がとめどなく溢れてくる。
理由は簡単。第3師団司令部に呼び出しをくらったからだ。
もしかして、クビか? こんなご時世にクビなのか!? くそっ、これは天地(あまち)隊長のせいに違いな……って、やっぱり前にもこんなことあったような……。
まぁいいや。話を元に戻して──普通の部隊ならこんなことはありえない。ま、そりゃあ士官スタッフとか、大隊の隊長とかならありえるけど、残念ながら今の僕は違う。それなのになぜ?
簡潔に言うと、第13特殊遊撃戦隊が司令部直属だからだ。うん、正直に言って忘れていた。見事に忘却の彼方だ。
「いや、それマズくないか?」
松田三尉がすかさずツッコミをいれてくれた。ツッコんでくれるのは嬉しいんだけど……心の中のつぶやきにまでいれるのは勘弁して欲しい。
僕の左に立つ多々良(たたら)二曹が手をポンと合わせた。
「あ、自分のポジションが取られるからじゃないんですね」
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