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ちょっと待て、補佐という役職はパワーアップしたけど肝心の僕はどうなるんだ? もしかして置いてきぼり……はないか、さすがに。
「で、結局のところ小官の処遇は」
たまらず訊いてみた。すると榎本師団長は豪快に笑った。師団長といえどムカつくのはなんでだろう。
「悪い悪い、春日一尉は再編成完了ののち、事務整理も兼ねた第1係主任として働いてもらう。……楓羅(ふうら)を頼んだぞ」
なぜゆえ冥さんの名前が出る?
「第1係副主任だからに決まってるじゃないか」
あぁ、なるほど。なんだか一気に肩の力が抜けた気がする。この師団長はろくな死に方をしないな。
榎本師団長は笑みを携えながら松田と多々良に向き直った。
「あと、第1係だけでなく、第2係も設置する。それで第2係主任を松田三尉に」
「な──っ!?」
「多々良二曹は一階級昇格、先任下士官の1人として松田三尉のフォローを頼む」
「マジでか……」
僕を含めた3人が、3人ともそれぞれの理由で絶句する。こんな人事で大丈夫なのだろうか……。
嬉しいようで嬉しくない命令を聞きながら、思わず嘆息する。
この様子じゃ、当分の間は、僕の手におえないあの彼女たちとは離れられないようだ。
第25話『さらば補佐』END
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