第3章

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僕は隆司さんにきつく手を握られたまま歩いている。 「世久さん!好きな食べ物教えて下さい!」 さっきから、隆司さんは僕に質問をぶつけてくる。 「んーと…アイスとか…」 「俺もアイス大好きです!趣味が合うなんて、光栄だなぁ…」 隆司さんはデレデレしながら笑う。 と、 「おぉー、アイス屋発見!買って来ますね!」 手を離してダッシュで向こうに行ってしまった。 やっぱり、変な人だなぁ… 「おい、お前…この前のガキか?」 ん? 振り返ると、この間の不良さん達… 「あはは…偶然ですね…」 僕は、後退りする…が、呆気なく捕まえられてしまった。 「逃がさないぞ」 「ちょっと!離してよ…!」 両腕を掴まれ、身動きが取れない。 「やだってば…離して…」 僕は、自分を捕まえている男に訴え掛ける。 「なっ…」 男は僕を見て動揺している… 「お願い…?」 すると男は…たちまちぱっと頬を染めた。 「かっ…可愛い…」 僕は頭に頬擦りをされる… 「コイツ、俺の物にする!」 「おい!そいつは今から…」 「早い者勝ち!」 僕は抵抗する間もなく、肩に抱えあげられて連れ去られる… しかし、 「テメェら…世久さんに何してんだよ」 どす黒いオーラを出している隆司さんが道を塞いだ。 片手にソフトクリームを持っている。 隆司さんは不良さんを蹴り倒して、離れた僕を救い出す。 「世久さん…お怪我は?」 「無いけど…」 「良かったぁ…目を離した隙にこんな…すみませんでした」 『目を離した』って…僕は、子供じゃないのに。
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