第3章

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「いや…その、世久さんに嫌われたら終わりだし…若干アホな感じなら好きになってくれるかな、って…」 隆司さんは肩を落としてぼそぼそと話し始めた… 「やっぱり…こんな俺じゃ嫌ですよね?こんなバカと付き合うなんて…」 悲しそうに問い掛けてくる隆司さんが何だか可愛い。 怖いのは外見だけなのかも…なんて思った。 隆司さんは悪い人じゃなさそうだし… 「…いいよ」 「え?」 「付き合ってあげる…それでいいでしょ?」 …隆司さんは、目を見開いたまま硬直した。 その口がぱくぱく動いている… 「マ…マジで?」 僕は微笑みながらゆっくり頷く。 「っしゃあぁぁ!!」 ベンチから立ち上がり、物凄い音量で雄叫びを上げる隆司さん… 「必ず幸せにしますよ!誓いますっ!」 「あ、ありがとう…」 でも、なんだか…頼りないんだよね。さっきまで隆司さんのヘラヘラした顔しか見てなかったからかもしれないけど。 こういう時は、 「でも…1つだけお願いしたい事が…」 「いやいや!何個でも聞きますよ!」 「んと…僕のおじいちゃんに会ってくれる?」 おじいちゃんに鍛えてもらったら、安心して身を任せられる。 「はいっ!了解です!」 「あと、その口調やめて?同い年でしょ?」 「あっ…わ、分かった! えーと、じゃあまたな!」 そう言って突然走り出す。 …おじいちゃんの家行くの久し振りだから、楽しみだなぁ。 みっちり鍛えてもらってね、隆司さん。
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