出会い

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今は月曜の放課後、俺…神谷 蒼也〔カミヤ ソウヤ〕は夕暮れで朱色に染まった教室にいる…。 「すっ、好きです! 付き合って下さいっ!」 ああ、またか… 何故だかは知らないが俺はよく告白される。 今回もそのようだ… 「…ゴメン、君とは付き合えない…」 俺は苦しそうな表情を作りながら言った。 「そうですか… すいませんっ!」 告白してきた女の子は涙を目に浮かべ、走り去っていった。 「……ハハッ! いつ終わるんだろうなコレ…」 誰かに言う訳でもなく、俺は独り、呟いた。 「…あんたが誰かと付き合えばいいじゃない」 俺が帰ろうとすると、教室のドアの方から声が聞こえてきた。 …女子だ 「…見てたのかよ…」 「ええ、見たわよ 忘れ物取りに来たら偶然」 確かこの女子は白川 空〔シラカワ ソラ〕って名前だ。 白川は自分の席に向かいながら言ってきた。 「…人の告白、見んの良い事は思わないぞ」 「そんな事知らないわよ さっきも言ったように偶然なんだから」 白川はさたかも当然のように言った。 「…まあ…そうだな…」 「じゃあ私は帰る 忘れ物もあったしね」 「そうか…」 俺は教室から出て行こうとする白川を見ていた。 「…あんた、告白されんのが嫌なら、適当な女と付き合えばいいじゃない」 白川は振り向き、そんな事を言い出した。 「中途半端な気持ちで付き合っても両方傷つくだけだ…」 「…ふ~ん、ちゃんとした考え持ってんのね …じゃあね」 白川は一瞬微笑みながら言った。 ……………一瞬、ほんの一瞬見せたその微笑みは、夕焼けに染まって、とても綺麗だった。 「………おっ、おい! 白川っ!」 気付いた時には白川はいなくて、教室に一人、俺だけが残されていた。 「何なんだかな…」 その日、俺は帰っても一瞬白川が見せた微笑みが忘れられなかった。
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