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「しかし断る!!」
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私達は約一時間ほど沈黙していた、しかしいまだに誰も喋らない。
「………」
「………」
「………」
どうしよう、私達はどうしても彼をこちらへと引き込まなければならない。
もとより彼が、正確には彼の持つ〝特異点〟が重要なのだ。
彼でいいと言ったのは少しでも彼自身がその他大勢として思わせるため。
裏目に出たのか…
「あ~…」
どうしようマジで…
すっげえ難しい顔してるよ、なんか悲しそうだし。
早いうちになんとかカブッ!!
「ウギャァ~!!マジすんません冗談言わず行きます!!行かせて下さい!!!」
「グルル…」
「冗談?」
考えていた間にクルがなんとかしてくれたのか、少年が行くと言い出した。
しかしそれよりも先ほどのが本当に冗談なのか、私にとっては彼自身が望んでこちらに来てもらわねばならない。
そうでなければ彼を消滅せねばならないのだから…
「はい本当にすんません」
本日二度目の土下座は冷ややかな雰囲気だった。
「そう…じゃあ約束…しよう?」
私は卑怯だ、約束と言いつつ契約を結ぼうとしている。
彼を縛りつけようとしている。
それでも、それでも私はしなければならない。
王として、民を統べ守る者として。
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かくして鬼の王である少女と愚者の少年は誓約を誓う
それは物語の始まり、日常は新たな物に変わりゆく
退屈な日常よさらば、そして初めまして新たな日常よ
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