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「ねえクル、私はこの子が良いと思うんだけど?」
見た目はかなり線が細くて情けない感じがするけど…
と~~~っても強く熱い魂が、人の常識や限界とゆう名の鎖や檻に閉じ込められて尚動きだそうとするのが分かる。
どうしようもないほどの激情を無理やり心の、魂の奥底に押しやり嘆いているのを。
「クルル~」
クルも分かったのだろうか、彼の強固な己を隠す表の仮面の内にある素晴らしい魂を。
その魂を、激情を解き放つ為に必要なのは〝力〟と一握りの〝きっかけ〟
私はその2つを与えられる立場にある。
こんな面白そうな〝物〟を逃す手はない。
「ねぇあなた、この世界に不満はない?」
私は甘いテノールで話しかける。
あくまでドラマチックに、そしていてどことなく不安になりそうな雰囲気にする。
「…不満があればどうするんだ?新しい世界にでも連れて行ってくれんのか?それとも退屈な日常を破壊してくれるってのか?」
普段だったらここでおちゃらけるが、こんな〝非常識〟なトカゲ…クルか、そんなものを見た俺は期待していた。
いや〝確信〟していた、目の前にいる少女とトカゲがこの先の俺の行く先をとんでもなく面白くしてくれる事を。
「両方よ、新しい世界に連れてってあげる…少なくともこの世界に生きるあなたは退屈しないはずよ」
少女は微笑みながら手を差し出す。
その様はまるで悪戯が成功して喜ぶ子供のようで、美しい一枚の絵画のようだった。
頭にある〝角〟意外は。
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