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「それじゃクル、そこの死人をベッドにでも放り込んどいてね」
少女はニッコリと笑いひらりと窓から飛び降りる。
普通の人間なら運が悪かったら全身複雑骨折、運が良くて死ぬ高さから。
「かしこまりましたお嬢様」
すでに居ない主にむかい優雅な礼をするトカゲだった少女、チラリと見えた美脚に思わず見とれてしまったのは秘密だ。
「貴方、意外に好色で節操無しですね」
脚見てたのバレてたよ、トホホ…。
だがこれだけは言わないと完全に誤解されそうだ。
「これは悲しい男の性なんです、欲情とかしてません」
俺情けねぇ~、泣きたくなってきたよ。
「欲情されないのは少し悲しいです」
魅力が無いのだろうか、だとすればちょっとショックだ。
感情の抑揚が少ないと言っても年頃の女の子のつもり、好きな人に言われたら少し立ち直れないかもしれない。
まあ好きな人はまだ居ないけど。
ズルズルズル…
一応同い年だろうか、異世界に行った時に連れて来た少年の両足を持って長い廊下を歩く。
「あの…」
ズルズルズル…
俺起きてるから別にベッドまで行く必要無いよな?
「ちょっと…」
ズルズルズル…
やっぱさっきのがショックだったのかな?つか…「背中熱っ!!ちょ背中熱っ!!」
背中が摩擦熱でマジ熱い!!
ガンガンガン…!!(階段)
「痛い痛い痛い!!!なんの拷問!?!?」
つか俺を引きずりながらよく普通に階段登れるな!!
「うるさいですし暴れないで下さい、疲れます」
「グフゥッ!!!」
強烈な蹴りを腹部に入れてやっと静かになった。
こんな普通の人間を一週間で使えるようにしなきゃならないなんて…、前途多難だ。
だいたいひねくれてるし、さっきやこっちに来る時だってくだらない冗談で場の雰囲気悪くするし。
「…あのさ」
「何ですか?」
もう復活したのか、来る時も思ったがこの少年は意外に頑丈なようだ。
普通は気絶するのにかろうじてだが意識を保っていたし。
「えっと…しっぽもチャーミーングです」
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