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「~~~!!」
い、いきなり何を言い出すのだろうかこの少年は。
思わず赤くなってしまった顔を隠す、片手ではなくて両手で。
もちろん少年は落ちる、短いとはいえ痛いだろうな。
「ギャーー!!!」
こんなとこで言うんじゃなかった、俺は階段を頭から落ちていった。
城内の男達に可愛い、とかは言われた事はあってもしっぽがチャーミングなんてチャーミング…なんて…
「エヘヘ…♪」
思わず頬が弛んでしまう、どうしよう。
個人的には一番気に入ってるのだが、この国では一度も尾を褒められた事が無い。
まさか異世界の、それも人間に褒められるとは思ってもみなかった。
うん、この人は見所が有る♪
しっぽがチャーミングだなんて…エヘヘ~♪
その光景を見た者曰わく…いくら口説いても冷たくあしらうクルが恋する乙女のように頬を染めくねくね動いていて不気味だったそうだ…
「なんか俺こんなんばっか…ガク!」
なんか知らないが、この城に来るときにものすごい疲労感が出ていた俺は階段落ちのダメージで今度こそ意識を沈めた。
後で聞いた話だが、この城は少女達の世界ではなく俺の世界と彼女達の世界との間にある中継点の王族の城だそうだ。
なんでも一度に異世界を渡るのはかなりの負担があるらしく下手をすると生死に関わるらしい、俺が感じていた疲労感はこれが原因だった。
ちなみにこの中継点、異世界に渡るだけではなく山などに囲まれた所にも安定しなおかつ労力のロスが少なく行けるため利用者が多く都市のようになっている。
さらにびっくりなのは、この中継点が一つの国専用だからなおびっくりだ。
なんでも他の国と一緒にしてしまうと、攻められたり占領された時に一気に不利になってしまうためらしい。
後、ランダムに異世界に行く事はできても決まった世界には固定されたゲートが無くては行けないらしく俺が帰る事は出来ないそうだ。
無論帰るつもりも無いが。
何はともあれ、俺はあのくだらない冗談を言った後にもかかわらず異世界に連れてってもらえた。
…もっとも、アホな事したせいで誓約をつけられてしまったが。
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