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異世界の人の誘拐の仕方~鬼皇由良葉の場合
ヴヴヴヴヴ……
空間が歪み、やがて闇のような〝穴〟となる。
「此処は初めて見る世界ね…空気が汚れていてメルキスみたい」
「クルル~…」
暗い〝穴〟から出てきた、奇妙な格好をした少女と巨大なトカゲのような生物は会話する。
この世界ではクルは喋れない、由良葉よりは劣るとはいえ膨大かつ異常に密度の高い力を制御し人の姿を保てるほど強く無いからだ。
クルも由良葉も互いの言葉はわからない、音を聞き分けれる音域があまりに違うからだ。
それでも彼女達は会話する、言葉は分からなくてもどんな事を言ってるのかは分かるから。
由良葉:「あんまり長く居たら病気になりそうね、急ぎましょう」
「クル!」
私達はおそらく裏路地であろう道を歩いてく、私やクルは表にに行くと必ずどっちかに人等が集まってしまう
そうなってはこの世界、ひいては私達の世界に火種を持ち込む事にもなりかねない。
生きる者全てが強くは無いから…
「クルル~?」
由良葉はまた悲しい顔をしている、多分ずっと前にしてしまった過ちをまだ引きずってるのだろう。
私はもう気にしてないのに。
「ありがとうクル、さあ探しましょう、近いわ」
私は沈んでしまった心を切り替える、目的を見失ってはいけない。
ガッ!!
「グルルル~」
クルが痛そうにしている、見ればそこには転けて目を白黒させてる少年が居た。
まさかと思った、この少年は今まさに探しに行こうとしてた存在だ。
今回はついてるかもしれない、とりあえずなんて声をかけよう?
ああ、良いのがあった。
「痛いって」
これが…彼の者にかけた最初の言葉だった。
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