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――夢……?
俺は夢を見ていた。
幾度となく見た悪夢のような光景がそこにあった。
炎が荒れ狂い、すべてを焼き尽くしていく。
逃げまどう人々。そして辺りを骸が埋め尽くし、屍が大地を作り出している。
死をあざ笑うかのように哄笑が響き渡る。
そしてその声は身近から聞こえた。
それもそうだ。なぜなら哄笑を上げているのはこの俺自身だったからだ。
俺は駆けた。そして逃げまどう人間の一人に一瞥をくれてやる。
――やめろ………
その一瞥でその人間――男だ――は腰を抜かし、恐怖に顔を歪ませている。
愉快だった。とてつもなく愉快だった。
その男はなにやら命乞いをしているようだ。
だが腹を空かした俺にそんなことは関係なかった。
そう…、殺戮というなの空腹を満たす為には……
――やめてくれ………
ただ軽く手を振り下ろすだけでいい。
それだけでこの脆弱な人間をしとめるには事足りる。
何せこの俺を倒すできる敵など存在しないのだから……。
腕を振り上げる。
男はなにやら泣き叫んでいた。
だがそんな事は関係がない。
そして俺は……。
――やめろぉぉぉぉぉぉ!!
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