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これは、中学の体育の時の出来事である。
朝から小雨が降り、グラウンドは少しぬかるんでおり、そこでサッカーをする事になった。
その日は、なんとなく気分が良さそうなTと、いつもの友人グループと組んでパス練習をする事になった。
皆、特にサッカーが上手い訳でもなく、ただ適当にダベリながらパスを出しあっていた。
そして私からTにパスを回した時、ボールが泥の轍に引っかかってから、Tに渡る事になった。
私が、
「イレギュラーバウンドしちゃったよ~ボールが泥まみれになっちゃったなぁ」
と軽く笑いながら話していると、急にTの表情が険しくなり、何やらブツブツ呟いている。
「どうしたっやT、なんかあっとや?」
と話しかけると、
「おニューやったとに…」
とT。
「へ?何がおニューなん?」
とキョトン顔で聞き返す私。
すると、
「靴がさぁ!今日、靴買ったばかりやったっぞ!お前のせいで靴の汚れたやっか!買って返せ!」
と何やら興奮している。
「ゴメンさぁ」
と謝るが、まだご立腹の様子。
友人達も宥めに入ると、Tは、クールダウンをしに行った様子。
すると数分後、何喰わぬ顔でTは戻って来た。
一応もう一度
「ゴメンな…」
と伝えると
「あぁ」
っと返事が、かえって来た。
その後は、普段通りの仲に戻り、体育の時間は過ぎた。
グラウンドから教室に戻る際、Tを宥めてくれた友人達から
「お前、災難やったなぁ~。でも、雨の日なんかに、新しい靴履いてくるTもTだよなぁ~汚れるの目に見えてんじゃん!それでキレられてもねぇ~」
と私を笑って慰めてくれた。
「あははっ…」
と私は苦笑いをするしかなかったが、
「全くその通りである。」
と心の中で頷いた。
このような理不尽な話しは他にもあるが、それは別の機会に。
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