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それは、ある日の昼休み。
いつもの友人グループで過ごしていた時の事。
Tがいきなり、
「ジャンケンをしよう!」
と言うのである。
その当時は、ジャンケンで負けたらジュースをおごるとか、肩パンなど、そういう些細な罰ゲームであった。
ジャンケンに関してはTが負けた事は、ほとんどなかった。
そのジャンケンに、Iがのったのである。
T、曰く
「負けたら、ハイサターンね~」
である。
「ハイサターン!?」
と一同驚愕したが、単なる気晴らし程度と考えていた。
ジャンケンは一回勝負。
「ジャンケンポン」
一瞬で勝負はついた。
Tがあっさり負けたのである。
「あぁ~負けちゃった」
と言うが、別に悔しい表情ではない。
勝ったIは、
「じゃ~ハイサターンなぁ~」
っと、してやったりの笑みであった。
当然、冗談であり、
「どんな罰ゲームになるんやろう」
と皆が期待していた。
そして、その日の放課後、TがIに対して
「ちょっと渡したい物があるけん、待っとって」
と話しており、私達もIと一緒にTを待つ事にした。
「何ば、持ってくるとやろう?」
「まさか、本気でハイサターン!?」
「ありえ~ん!」
「まぁ~気楽に待とうで~」
ぐらいの会話をしていた。
数分して、Tが戻ってきた。
「待たせてゴメン、はい、I、これ、ジャンケンの分ね」
とある袋を渡した。
その瞬間、一同凍りついた…。
出た…、あのハイサターンである…。
一番驚いたのはI本人である。
「えぇ…冗談やろう…たかがジャンケンやん、そんなん高いもん受け取れんよ…返すわ…」
と青ざめている。
しかし、Tは
「負けたとやけん、よかっさ」
と言い切る。
Iとしても、何度も返そうとするが、Tは断固受けとろうとはせず、結局、Iは、仕方なく受け取る事になった。
遊戯王の闇のゲーム以上の怖さと、Tの潔さを実感した出来事であった。
後日談ではあるが、ハイサターンは即、現金化されたらしい…。
皆さんも、簡単にジャンケンをなさらないように…。
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