第二章 出会い

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哲也の「終電やばいよ?!」の一言で皆は走り出した。拓也と夏実以外は....俺は後ろを振り返り拓也と夏実がこっちを向かって手を振る姿をみて立ち止まってしまった「矢内!!走れ!」と哲也。哲也の声に我にかえり駅まで走った。電車はギリギリセーフ。俺は電車の中では無言でいた。あの手を繋いでいた時も、二人あそこに残ってこっちに手を振ってた事も、このサークルの人達がそれを見て特にリアクションをとらないのはもうサークル内では公認の中なんだと思った。駅からタクシーを拾おうと思ったがなんとなく、歩きたい気分だった。同じ駅で降りた祥子に別れを告げて、歩いて帰った。祥子は地元が一緒だったらしい。だからあの日、近所のコンビニに夏実が居たのは、祥子の家で鍋をしてたらしい。俺は痛む胸に言い聞かせるようにあの光景を思い返していた。(別にいいじゃねーか。俺は好きでもなんでもねんだ。何をこんなに凹んでんだ)言い聞かせるのが精一杯。想えば想う程混みあげてくる苛立ちと苦しみで押し潰されそうになった。帰って飲みなおして寝よう。たいして酒も強くないのにその夜一人で飲み明かした。
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