第二章 出会い

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すると夏実の携帯がなった「あっうん、ちょっとお腹痛くて。ううん、大丈夫。拓也先行ってて?」ん!?拓也か....思ったがそこには触れなかった。「お腹痛いの?」「ううん(笑)嘘ぉ~」「そっか」と返事を返した時一瞬夏実は悲しそうな顔をしたんだ。今思えばなんでもっと早く気付いてあげられなかったんだろうと思う。沈黙のまま学内に入り、ニ限までの時間を食堂でジュースを飲んで潰した。「ねぇ、矢内君って、彼女とか居ないのぉ?」自然すぎる聞方にジュース飲む手が止まった。「居ないよ」と返し、ジュースを飲み続けた。夏実も「そっか(笑)」とだけ返し、黙っていた。「おい!!お腹平気か?帰るか?」と拓也が歩いてきた。「うん(笑)治った」と俺の前では見せない様な笑顔で夏実は言った。俺はまた胸が苦しくなり、この場から逃げたくなって「じゃ俺行くわ!」とだけ言い残して教室へ向かった。春の日差しが気持ち良くて、俺の乾いた心をさらに乾かしていく。なんだよさっきの夏実の笑顔。あんな顔見た事ねーよ。そもそも何で俺はこんな風に思うんだろう。こんな感情はじめてだ。苦しくて切ない。考えると胸が苦しくて仕方ない。
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