第二章 出会い

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ふと横を見ると祥子が切ない顔をしていた。(やっぱりな。祥子は拓也か好きなんだな)なんて思いながら春から夏へと変わる蒸し暑い風を感じながら駅まで歩いた。電車に乗って30分。駅に着いた。「じゃーな矢内!」哲也の声に理菜も続いた。「祥子気を付けてね。矢内明日は遅刻すんなよぉ~(笑)」と二人と別れた。改札を出るまでは特に話さないがなんとなく祥子と降りてきた。祥子はいつも左に向かって歩いてくので俺はいつも右に向かって歩いていた。本当は左の方が近いんだけどなんとなく一度右に向かって歩いて行ったので、今更左には行けなかった。この日も俺は改札を降りて右に向かって「じゃ!」と祥子に背を向けた。「矢内くん....少し時間平気??もし平気だったらお茶してかない?(笑)」祥子に誘われたのははじめてだった。断る理由も見付からなかったので俺は「いいよ」と行って、二人で喫茶店に入った。 今思えば、この祥子の話を聞かなかったら俺は何も解らずにただ夏実を四年間片想いして終わったのかもしれない....
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