第二章 出会い

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なんだ...彼氏....いるんだ。ん!?何少しがっかりしてんの俺(焦)馬鹿だと思った。19年生きてきてこれほど自分に幻滅した事はない。同時に彼氏がいるのにあんな風に俺に接してくる夏実に怒りさえ感じた。次の日からも夏実は俺に馴れ馴れしく話しかけてきては満面の笑みで笑った。食堂でも講義中も。でも俺は、目すら合わせようとはしなかったんだ。これが恋というものだとは知らずに....そんな自分の中で日に日に夏実を探している自分がいた。夏実が近くに来る事を待っている自分がいたんだ。俺だって恋愛経験が無い訳じゃない。当たり障りのない恋愛ならしてきた。告られてなんとなく付き合って。いつの間にか恋愛とは待つ事なんだと思い込んでいた。夏実に出会うまでは。冷たくしても、それでも夏実は毎日俺の所へ来てはからかって楽しんでいた。そんな日々が続いたある日、食堂で飯を食っているといつもの様に夏実軍団に囲まれた。「矢内君、テニス興味ない?」俺がいつもの様に黙りこんでいると「テニス....しない?」俺はたしかに中学、高校とテニス部に所属していた。でも万年補欠で、なんとなく続けてた感じだったんだ。
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