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「こらこら置いていくな」
難なく橙に追い付き話しかける桜火だがとうの橙は頬を膨らませそっぽを向くという、なんとも可愛らしいことをしていた。
とはいえ、会話が成り立たないのは頂けない。こういう場合は謝ったほうがいいだろうと桜火は結論づけた。
「悪かった橙。これこのとおり」
頭を下げながら橙の様子を伺うと頬をわずかに赤く染め横目でこちらを見ていた。恥ずかしくなってきたのだろう。
「もういいよ、桜火さん悪くないもん」
そうかと笑いながら言うと橙も笑顔を向けた。機嫌はすっかり良くなっているようである。
「でもやっぱり凄いよね、その紙」
「呪符だ、紙と言うな」
彼が弾幕に使うのがこの呪符である。彼の能力は攻撃に使える物ではない。故に弾幕にはこの呪符と千本と呼ばれる棒手裏剣を用いるようにしている。
ちなみに、紫にスペルカードルールの話を聞いて弾幕を呪符と千本にすると言ったところ、
『呪符と千本?…どこかの巫女みたいね』
と言われたらしい。
「まあ、お前の弾幕が単純だから防げたんだがな」
「むー!そんな事無いもん!」
またもや可愛らしく頬を膨らませ怒る橙、藍が見たら発狂ものである。
「普段ならな、今回は奇襲に頼り過ぎでいやに直線的だったぞ」
あうっと自身の失態に気づき悄げる橙を娘を見るような眼で見る桜火。
何とも微笑ましい光景である。
「今度練習に付き合ってやるからそう悄げるな」
ぱあっと顔を明るくし約束だよっと繰り返す橙をもちろんと言いながら桜火は頭を撫でてやる。
そうしている間にマヨヒガは目の前にまで迫っていた。
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