女の戦いⅠ

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 (これは・・・マズったな・・・)  秋勾は優梨のその暗黒の雲を感じ取っていた。下手したら視認出来るくらいだし。・・・それにしたって、ここで昏の名前を出すのは流石にキツかったか。  優梨は人一倍兄に群がる女を嫌う。その排除手段は数知れず。今まで何度病院送りがあったかわからない。・・・今ベタベタしている詩織は幼なじみだからいいらしい。が、最近藍の存在を確認した優梨がどんな計画を練っているか。想像に難くない。  ・・・そんな状態で、我が家にお稲荷さまを連れてきたとなると、どんな惨劇が起こるかわからない。今すぐ包丁持って行ってハラワタ引きずり出してもおかしくない。優梨はそんな子である。  ・・・そうやって脂汗をだらだら流す秋勾に、ついに優梨が口を開いた。声のトーンは一段と低い。  「・・・お兄ちゃん、誰、それ」  「えーっと・・・その・・・友達」  優梨は秋勾を睨み付ける。その目はいかにも嘘だっ!!!!と言いたげだった。もともと秋勾は嘘や隠し事が出来るタイプではない。だから詳細まで顔にびっしりと書かれるのである。  「お友達?・・・私知らないよ?そのお友達・・・。・・・ねぇ、お兄ちゃん。何なの、それ」
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