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「あと5分・・・あと5分だけ・・・」
「さっきもあと5分って言ってた!これで計10分だよ!」
優梨にたたき起こされ、渋々ベッドから抜け出す秋勾。寝ぼけ眼のまま、服を着替えたり朝ご飯食べたり、歯を磨いたり顔を洗ったりを優梨にされ、朝の準備が整った。
まだ眠っている思考のまま靴を履かされ外に追い出された。・・・そしてその隙をついて優梨はいってきますのキスをして行ったところで秋勾の頭は目覚めを確認した。
「舌も入れた。母さんにもされたことないのに・・・」
「チューして何が悪いのー。お兄ちゃんがまだ寝てたから悪いんだよー」
「そうかー」
なぜか納得した秋勾にいってきますを告げて、優梨は出掛けて行った。まぁ秋勾も出掛けるのだが。
・・・道行く人々。それは他人であり、ほとんどが自分と関係ない無関心なもの。・・・それを秋勾はようやく理解したのだろうか。いやしてなさそう。
でも少しくらいはわかったと思う。いつもは真実視でいろいろな発見があった。何も視えないというのはこれほどまでにつまらないものなんだ。
朝の日課の楽しみである人間観察が、初めて出来なかった日だった。
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