2857人が本棚に入れています
本棚に追加
まぁそんな一時の悲しみもすぐ忘れてしまった。違和感は忘れ切れないが。
さて、学校。
いつも通りに教室につくと、監視カメラがあって秋勾の動きが確認出来るのかと錯覚するほど、今日も藍の姿が目の前に。
まずいつも通りにその脇からするっと抜けていって、自分の席についた。藍は秋勾を捕まえられなかったことに残念がりながら秋勾の元へ向かった。
そして一歩手前ではたと止まる。
「・・・どうしたの?」
「・・・汚れてる」
秋勾は藍からそんな言葉など言われたことがなかったので、思わず驚いて目を見開いた。すると藍はそれを取り繕うようにあわてて弁解し始めた。
「あ、ち、違うのよぉ、ほら、ここに!糸屑がぁ!」
「え?どこ?」
「も、もう取ったわぁ!大丈夫よぉ、もう取ったから!」
藍の様子はわざとらし過ぎるが、秋勾はそれに気付くことはない。いや、気付けるが気が付かないという特殊すぎるスキルなのだ。
藍はその後もべったりだったが、どこか顔に陰りがあった。もちろん、秋勾は気が付かない。流石。
いつものチャイムが鳴ると、藍は逃げるように席へ向かった。
最初のコメントを投稿しよう!