2857人が本棚に入れています
本棚に追加
「つるぺた・・・じゃない、シオリンちに何しに行くの?」
「え?」
藍の声があまりにも真剣だったので、秋勾は面食らって答えられずにいた。すると、藍が追い撃ちをかけてくる。
「言えないようなこと?」
正にその通りなのでドキリとする。別に言えない訳じゃないが、言って理解出来ることじゃないだろう。
・・・だから、首を縦に振ることで答えた。
「・・・そうなのぉ!?そ、そんな・・・二人っきりで彼女の家で言えないようなことを・・・」
「え・・・いやそういう意味じゃなくて!」
なよなよと悲しむ藍だったが、秋勾が否定すると、その顔に異常なまでの意思を張り付かせて秋勾を覗き込んだ。
「じゃあどういう意味?」
「え、っと、それは・・・」
藍に見つめられて、違う意味で動悸が止まらない。・・・なんだ、これは。まるで狩られる側の獣みたいな・・・そう、今の藍の目は人のそれではない、秋勾はそう感じた。
「・・・だよねぇー」
藍はやっとその視線を外してくれた。秋勾はやっと生きた心地がした。
「言えないようなことって言ってたんだしぃ。・・・変なこと聞いてごめぇん」
最初のコメントを投稿しよう!