2857人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ・・・いや・・・」
「じゃあ私はこれで。・・・手間取らせちゃってホントにごめんねぇ」
ほとんど一方的に話を切られてしまったが、秋勾としては珍しく、ほっとした気分だった。
一体なんだったんだろうなぁ、と考えるのも一瞬で、すぐに、まぁいいやぁ、といつもの調子に戻った。
気を取り直して、というかこの短時間で全て忘れ去って、昇降口に向かった。案の定、帰宅する生徒達でごった返していた。
順々に段々と、しかしたまにトロくて追い抜かされたりしながら、やっと自分の下駄箱にたどり着いた。ちなみに秋勾は帰宅部である。
校庭の運動部を見ながら、無意味にがんばれ、と握りこぶしをぐっと込める。無意味だが、どうでもいいところで見知らぬ人を応援する姿勢はいろんな意味で真似出来ない。
いつもの帰宅ルートに乗った時は、太陽が真上で照り付けていた。というのも、今日は土曜日で短縮授業だったのだ。お昼時でまだ昼食を摂っていない秋勾は、多少早く詩織家に着きたかった。
・・・と、不意にケータイが鳴った。鳴ったと言っても今はマナーモードで、規則的なバイブレーションが作動しているだけだったが。
最初のコメントを投稿しよう!