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ポケットからケータイを取り出して・・・と、その過程でケータイを落としてしまった。ストラップ等が何もついてない質素といえば質素なケータイ。
一一『そいつ』は陰からずっと見ていた。一部始終、という訳ではないが、帰り道の軌道に乗った辺りからだったろうか。
その半分くらい行ったところで、不意に立ち止まったものだから、『そいつ』は見つかってしまったのかと焦ったものだ。
それで一応じっとしていたら、何かを落としたようだった。身を乗り出してよく見るが、見たこともないような小さな・・・箱?みたいなもの・・・まぁケータイなのだが・・・を落としたのだ。
『そいつ』は、ほぼ野性の勘で、これは好機だ、と感じた。『そいつ』の脚なら、それをどうにかして目的を達することは可能だと踏んだ。・・・多分、出来る。
だから、そう思考を巡らせてから、身体の全神経に指令伝達し、それを実行するに至るのは、そんなに時間のかかることではなかった。
一一秋勾はそれを拾おうとして、身をかがめたその時だった。突然、目の前に金色の風が吹いた。・・・と思ったら、ケータイが忽然と消え去ったではないか。またもマジック?
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