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・・・どれくらいの時間が経ったろうか。山の傾斜がそろそろきつくなったところで、狐は一気に走り去ってしまった。もう飽きちゃったのかな、と息があがりながらものんびり考える秋勾。
またしばらく歩いていくと、もう傾斜がきつくて登れない、というところで急に石の階段があらわれた。・・・こんな山奥の誰もこなさそうなところに、階段?秋勾は訝りながらもその苔むした石段を登って行く。
・・・そのあとはすぐだった。朱い鳥居が見えたと思ったら、石畳の、やはり苔むした忘れられた時代の産物のような、古い境内がそこにあった。
大分広いその向こうに、ぼろい感じの神社が鎮座していた。威厳というよりか、同情を誘うほど黒く汚れて崩れかけた神社だった。
「・・・ここ、どこ?」
自然と半一体化した境内を歩きつつ、秋勾が呟いた。そして、狐はここにいる、というなぜか確信めいた思いで狐(ていうかケータイ)を探していた。
ふと、前方に金色の何かがさらりと流れた。さっきの狐だ、と顔を上げると・・・秋勾は、驚きを隠せなかった。
なぜなら、どこから現れたのか、そこには巫女装束の少女がいたからである。しかも金髪。
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