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少女は今までで1番嫌そうな顔をして秋勾を睨みつけた。秋勾は失言に縮こまる他ない。
「・・・私が何かなんか別にいいでしょ」
「・・・で、でも、その・・・名前、とかくらいは・・・」
「そんな言うほど知りたいの?」
「う、う~ん・・・」
秋勾が返答に困っていると、少女は仕方ない、というふうに溜め息を一つつき、めんどくさそうに言った。
「どうせあんたなら悪用しない・・・というか、出来ないだろうし・・・いいわよ、教えたげる。・・・私の名前は、」
ちょうど少女が名前を言おうとしたその時だった。ゴウッと飛行機が風を切って轟音を叫ぶような突風が起こった。
・・・のは一瞬で、少女がちょうど名前を言い終わったところで風は急に収まり、全くの無風になった。少女は再び忌ま忌ましげに舌打ちする。
「くそ・・・まだ私の邪魔をするか・・・しつこいわね、もう400年目よ・・・」
400年、という人一人には縁のなさそうな永い時間の呼称に秋勾は言葉の意味がよくわからなかった。・・・少女はその目を真剣にさせて、秋勾に向き直った。
「・・・はぁ、もう面倒だから単刀直入に本題に入るわ。・・・あんた一一
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