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「アレ、ソンナニモ昔ノ事ダッタカ。・・・ナンニシロ、人ノ子ヨ、オ前ガ無知ニシロ、フラフラトコンナ場所ヘクルコトガ悪イノダ。怨ムナラ己ヲ怨メ」
秋勾は、そんな無茶苦茶な、と文句が言いたかったが、ガチガチと震えてそれどころではなかった。・・・少女はそんな秋勾を冷たく見下ろしていた。
「・・・トハ言エド、我モオ前ヲ哀レム心ガナイ訳デハナイ。・・・見逃セルモノナラ見逃シテヤランデモナイ」
まさかの提案に秋勾は驚き、別の意味で腰を抜かしてしまった。鬼って、みんな残虐非道な生き物だと思っていたら、血も涙もありそうないい人(?)なのか!?
少女は鬼の言ったことに、秋勾とは違う意味で驚いた。・・・それから、苦虫を噛み潰した微妙な表情をした。秋勾は藁にも縋る思いで聞く。
「え、えっと、ど、どうしたらいいんですか」
「・・・ソコノ」
鬼が指差す先には少女の姿が。少女はばつの悪そうに、何よ、と睨みつける。
「・・・女ギツネヲ、里ニ引キズリ下ロシテクレ。我ノ山ニコレ以上置イテオキタクナイ」
悪かったわね、と凄む少女と、本当に困った風な鬼。・・・なんか、苦労がわかる気がする・・・。
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