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「・・・で、でも、了承してくれるかどうか・・・」
「頼ンデミナケレバ始マラン」
鬼にしては随分妥当なことを言う。意外と賢い生き物なのかも、と思いながら秋勾は少女の元へ。
「あ、あの、」
「イヤよ」
「えええええ!?まだ何も言ってないのに!」
「聞こえてたもの。イヤよ。それに、あんただって結婚承諾しないじゃない」
そんな子供みたいなことを言って、それだけで秋勾の人生が決まってしまうのだから、そんな訳にもいかない。必死で説得しようと思ったところ、肩をちょいちょいつつかれた。何事かと秋勾が振り返ると、鬼が悲しそうな感じで秋勾を見ていた。
「・・・残念ダッタナ」
「い、いや、まだ、」
「聞コエテイタカラナ。・・・残念ダ。我トシテモ、人殺シハシタクナカッタガ・・・ダガ、コウナッテハ仕方ノナイ。我トテ、腹ガ減ッテイナイ訳デモナイ。腹ノ肥ヤシハ必要ナノダ。良心ト天秤ニカケテモワカリキッタコト。・・・オ前モソウダロウ。肉ヲ喰ラウ時、ソノ肉トナッタモノニ情ケヲカケルカ?・・・同ジコトダ。悪ク思ウナヨ」
秋勾はこん棒が振り下ろされる前に駆け出していた。それはもう全速力で。
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