天気雨の別称Ⅱ

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 「うう・・・なんでこんなことに・・・!?」  秋勾は珍しく頭をフル回転していた。足も同じくフル稼動最大全速。しかし、足の速いはずの秋勾を平気に追って来られる鬼は、やはり人外の生き物なのだろう。  「何が悪いんだよ・・・どこで間違ったの・・・?」  走りながら思考する。狐にケータイを取られたこと・・・少女と出会ったこと・・・結婚を断ったこと・・・。・・・そして、一つの理由の候補と、ある人の言葉を思い出した。  『このお札は次ここにくるまで剥がしちゃダメよ』  ・・・あの、封印のあと、菊代がそう言っていたこと。そして、少女がためらいもなくそれを剥がしたこと・・・。  「・・・うわー、これだー!絶対これだー!」  秋勾は後ろの鬼がびっくりするほどの大声で泣きながら言った。何をしてくれたんだー!と叫びながら秋勾は走り続ける。  一一少女は、これを始めこそ厄介事だと面倒くさがったが、よくよく考えてみれば好機であると踏んだ。  何しろ、鬼なんかに追い掛けられてるのだ。極限状態に違いない。・・・そうであれば、多少無茶苦茶でも無理矢理婚約させられるはずだ、と自信たっぷりに思案した。・・・なんでかねぇ。
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